顕の香りがすると、なんだか落ち着くし、キュンとしてならない。
懐に頬を寄せていると、優しく手櫛で髪を通すので心地よい。
そうしているうちに、おでこや頬についばむようなキスをし始めた。
くすぐったいと笑いながら、内心ドキドキしてしまうのは、たぶんここが顕の実家の居間にいるせいということもある。
もっとくっつきたいなぁと思い始めてしまうと「部屋、戻るか」と顕が囁くように言うので、ドキッとして顔を上げた。
「顕人」とドアの開閉音が聞こえ、思わず跳ね起きた。
永史さんで、手には焼酎を持っている。続いてお風呂上りのお父さんが戻って来て「先にお風呂、悪かったね。おっ、今から、飲むのかい」と言うので、結局部屋に戻る雰囲気もなくなり、宴会が続いた。
途中、離れたところで顕が永史さんと二人きりで話し込んでいたので、そういえば今後のことで相談したいと言っていたことを思い出した。
改めて、顕のこれからの未来はまったく想像もつかないような世界になるのだと実感する。
そして、顕に改めて「こっちに着いて行く」とも「仙台に残る」とも言っていないから、私はこれからどうするんだろうとも思った。
そういえば家族に紹介してもらったけど、誰も「結婚」の話はしてこなかったので、そういう部分も伝わっているのかもしれない。
先の約束があろうがなかろうが、ただ受け入れてくれる優しさがあるのだと、温かい気持ちになった。



