甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


「お帰り! 元気してたか? あけおめ!」と頬を寄せようとしてくるので、どうにか阻止するが、腕を解こうにも自分よりもガタイがいいのとバカ力には敵わない。
「元気だ、元気、離れろよ」
「照れんなって」
「照れてねーよ」

ばあちゃんが「あらあら、仲良しさんだこと。おほほほ」と温かい目で見守っているけど、ちょっと違う。ただの一方的なブラコンだ。

少しの攻防戦の後、ようやく手が離れると、真唯子に気がついたようで声をかけた。
今さら取り繕っても遅いのに、急に凛々しくなる。

「初めまして。顕人の兄の永史(ナガフミ)です」
「あ、初めまして。小千谷真唯子です。顕人さんからお話伺ってて、お会いするの楽しみにしてました」
「なんだよ、俺のこと、話していたのかよ」と照れ臭そうに鼻先をこする。
「優しいお兄ちゃんだって言ってましたよ」と他意はないが、誤解を生みそうで困る。

案の定「優しいお兄ちゃんか。そんな風に思ってたんだな」と目に涙を滲ませるので、ヒートアップする前に「はいはい。そういうことでよろしくな」と、どうにかその場をおさめた。