「さて課長に問題です。
2年付き合った男と連絡がとれなくなりました。その理由はなんでしょう?
1番、別に好きな女性ができた。2番、彼女が嫌いになった。3番、交通事故にあい入院している。5番、実は月から来たので、月に帰らなくなければいけなくなってしまった。
さあどれでしょう?」
「4がねーぞ。4が」
「あっ、私としたことが。4番。んじゃあ、地球を守る為、ロケットに乗って……」
「5」
と即答する。
「おっ、けっこうロマンティックですねー。課長」
「……疲れた」と、課長が呆れた顔をするから、なんとなく気分を損ねているんだなぁというのはわかってきてちょっと言い訳したくなった。
「すみません。あの……ただ男性の意見が聞いてみたかったんです。
こう彼氏が急に音信不通にする理由ってなんだろうなって思って。
あ、今、まさに私がそういう状況なんですけど。で、課長に言われたら腑に落ちるというか、説得力あるし」
「ああそうかそうか。そいつは大変だったなー」
棒読みで答える。
明らかにどうでもいいようだ。
「真面目に聞いてくださいよ」
「お前がさっきから会話を無視してたんだろうが」
「でも、あれですね。課長がそういうなら、月に帰ったことにします。あ、じゃあ一緒に見送ってもらえませんか? わたしのかぐや姫を」
とたとた歩いてベランダの窓を開けた。
シンとした闇が広がっていて、眠りについた家が並んでいる。
今、起きているのは私と課長だけしかいないような気にもなる。



