甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


思わず首を横に振る。
「私も……私もごめんなさい。萌花さんの話を聞いた後、顕、何でもない顔してたけど、本当は落ち込んだりしてた? それなのに、若槻の後、追わせたりして、もしかして無理させた?」

平然としている彼が本当の姿のように感じていたけど、実のところどうなんだろう。訊く必要があると思った。
は、と短く笑う。そんな事はどうでもいいよと呟いた。

「どうでも良くない。どうでも良かったら、聞かないよ」
「………」
「ごめん。言いたくないならいい」
それには答えなかった。
「そんなことより、誤解を解きたいんだよ」
「誤解?」
「自分が恥ずかしいって、真唯子が落ち込んでたとか聞いたから」
笑みが引いた。さっき自分が恥ずかしいと吐露したことを伝えられているとは、思わなかった。

「そんな事、言ってたんですか」
頷くと
「ああ。病院で会ったときの話もされたよ」
「……うわぁ。あの人、歩く拡声器ですか」
どこまで話したのだろうと気になって、顕の顔が見れなくなる。