甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


「いや、外科医でしょ」と華さんがグラスを磨きながら、突っ込みを入れる。

真面目な話をしてると思ったら、ふざけてる。食えない人だと呆れていると
「でも、萌花もそうだったのかもな。怖さとか向き合えなくて、逃げただけ」
「……逃げた?」
「顕人の為にとか、希々歌ちゃんの為にとか……まあ、本当の理由なんかわかりようもないけど、人の為に別れを選ぶんじゃなくて、自分の為に動けていたら、あいつの人生、変わっていたかもしれないのにな」

本当と呟いて
「バカだよな。そんな生き方するから、死ぬんだよ」と言った天野先生の声は、尖って聞こえた。

だけど、伏せた目が切なげで、私はまた胸が痛んだ。