甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


私はカウンターに戻ると、顕にコートと鞄を手渡した。

「顕、行って!」
「はっ?」
「あのまま帰したらダメだよ。誤解してる。いや、誤解なのかどうかもはや私はわからないけど、とにかく、今は行ってあげて」
「……俺が行って、はいそうですかとなる問題でもないだろ」
「はいそうですかとかならなくていいから、行ってあげて! だって明後日、若槻、結婚式! こんな気持ちで結婚式、迎えてほしくないの! もう理屈とかどうでもいいんだってば。本当はほっとけないんでしょ? 私も心配だから、お願い!」と無理やり背中を押した。

顕は落ち着いて見えた。
だけど、今までそうしてた事も知ってる。
萌花さんのことで落ち込んだり、悩んできた若槻に寄り添ってきたことがある。
その時に何を話したのかも、どんな温度で話していたのかも知らないけど、ほっとけないって思ってるはずだ。

一度、立ち止まって私を見ると「後で連絡する」とだけ言って、小走りで駆けて行った。