天野先生は得意気に
「でもあいつだったら、そういうことやりそうだよな。俺は意外だと思わなかったぜ」
「……まあ、そうかもな」
「夢見がちなとこあったしな」
「夢見がち……確かに」
顕は静かに微笑む。心の中の思い出を眺める彼の横顔は綺麗なのに、どうしてか泣きたくなる。
ダメだ。トイレに行こうと立ち上がった。
さっきの忘年会のように若槻と顕が楽しく話している姿を温かい目で見られるようになった今なら、
萌花さんの話をもっと明るい気持ちで聞けると思っていたのだけど、さっきの顕の言葉が胸に突き刺さって聞いていられなかった。
こんな事、思っちゃいけないのに。
トイレの扉を、ぼんやり眺めながら待っていた。
に、しても遅い。若槻の様子が少しおかしかったから、何かあったのかと心配になりノックする。
「大丈夫?」
返事の代わりに、すすり泣くような声がして、背筋が寒くなった。



