甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


私がいない方が話しやすいのではないかと感じて、顕に声をかけようとしたのだけど
「死んだ元カノが自分を思って嘘ついて別れたって、どんなドラマだ?」と顕は天野先生に抑揚のないトーンで尋ねるので口を挟めなかった。

「……どんなドラマだったかな。韓流ドラマだったかな。うーん」と天野先生も誤魔化そうとしているようで、頬杖をついて視線を流した。
「俺の話だろ。知らないほうがいいってもろに聞こえたし。というか顕人がってはっきり聞こえたし」
「………」

華さんがオーダーした飲み物を並べていくと「ごめん、そのドラマの共犯者、私だわ」と静かに告げた。
顕がゆっくり顔を華さんに向ける。

「私が萌花から聞いたことだから、私が話すよ」

華さんは淡々と気持ちを抑えるように、事の経緯を話してくれた。
それは天野先生から言われたこととさほど変わりのない内容で、私は、なぜか気まずくて息を堪えてしまいそうになる。
なんとなく黙っている天野先生も同じような気持ちなのではないかと思った。
顕の顔、ちょっと見れない――。
そんな思いも、自分の中にまだ残ってもいた。