「別に照れなくていいよ。でも私は二人ともお似合いだなって思ってはいたよ」
「まじっすか。喜んでいいんだか」
「……ちょっと、好きな子とお似合いと言われて喜べないってどんだけ失礼なんだ」
非難すると加賀くんは、目を丸くしてから、本当にそうですねと力なく笑った。

「なんか中村さんに気持ちを聞かれたとき、照れ臭くていつものようにふざけて答えちゃって。まさか好きなわけねーよな、みたいな気持ちもあったし……でも、俺、あいつに本当にひどいことしましたよね」
「……うん」
「やっぱり、自分に嘘はつけないっすね。
それに自分に嘘ついたら、周りも自分みたいに嘘ついてんじゃないかって気になって、なんにも信じられなくなる感じがするしなぁ」
「大袈裟だなぁ」と、笑って返しながらも、どうしてか胸が痛んだ。

「俺のこと許してくれるかな。傷つけたかもしれないし。でも、それだけは謝りたいな」と呟く加賀くんがいつになく誠実に見えて
「加賀くん、今日、中村と話しなよ。私、協力する」と気づけば身を乗り出していた。