目の前に布団が二つ敷かれていて、さっき顕に早く抱きてーなと言われたことを思い出したけど、今、こんなに可愛げのない自分を抱きたいと思うはずがない。
今日、一日、楽しかったのに、何してるんだろう。
笑って、そんな事あったんだねー、でも終わったことだし気にならないよって言えれば良かったんだ。
モテモテじゃんとかさ、冷やかすとかさすれば良かったんだ。
そうできない自分にただ嫌悪が増す。
だって、若槻は可愛いくて素敵な子だってわかってる。だからか本当に気持ちが揺らいだりしなかったのかって疑うことが勝ってしまうんだ。
終わったことに線引きできていないのは自分だ――。
「真唯子」
背中側から顕の声がした。襖の向こうに私みたいに小さくなって座る顕を想像した。
「悪かった」
そう言われて、私もと言いたいのに声が出ない。なんだか惨めでバカみたいな自分に泣きたくなった。
「真唯子の言う通りかもな。隠していたかもしれない。話したら面倒くさいことになるってどこかで想像して、伏せてた気もする」
「面倒くさい」
その言葉が胸に刺さった。それはそうだ。現に話した結果、こんなところに立て籠もる31歳女子がいる。
自分が一番、こんな自分が面倒くさい。
駄々をこねまくる子より、素直で聞き分けのいい子の方が一緒にいて楽だし可愛いに決まってる。



