顕が席を外したときに、綾仁くんがテーブルにやってきて
「真唯子さん」
「お疲れ様。綾仁くんも飲む?」
「僕は大丈夫です」と首を振ってから
「あの、さっき聞こえちゃったんですけど、付き合ったんですね。
ちょっと驚きました。前に来たとき何もないような感じだったので」
「私もちょっと驚きの展開なんだけど、まあそうなりました」
「おめでとうございます」
「おめでとうなのかな。あはは」
照れくさいので笑って誤魔化すと
「なんか、僕……」と言いかけて口をつぐんだ。

「ん?」
「あ、僕も嬉しいです。良かったですね、本当に」
「うん、ありがとう」

背後から顕が「帰るぞ」と言うので、はーいと返事をした。