「小千谷さん……満たされてるんすねぇ。なんか嬉しいっす。幸せそうで」となぜか半泣きで言われる。

それから溜め息を吐いて
「自分はどうなんすかね。今だけ気になってるだけのような気もするし。
ああ、なんか自分の恋愛偏差値が低すぎてわからない。嫌になるっす」と顔を伏せた。

「わからないのは恋愛してないせいじゃないんじゃない?」
「だって、私なんて高校以来、彼氏いないんすよ? 恋なんて自分には恐れ多いっす」
「関係ないよ。好きだって感じるだけなんだからさ。それに、今の中村、可愛いし」
「えっ? 何言ってんすか? 可愛いわけないっす」
「可愛いんだって。ていうか、そういう自分の小さな変化に気づけたら、毎日って変わっていく気がするけどな。好きってわかる中村になれると思うよ」
「好き……っすか?」
「加賀くんが中村にとってそういう相手なのかはわからないけど。そうじゃないと決めつけるのもおかしいし。とりあえず頭で考えないで、自然な中村でいればいいんだよ」