甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


「私にはもふもふがあるからいいよ」

「もふもふって、ねこかきあつめなんかまだしてるんですか? てか、全然もふもふしてないじゃないすか! 触れないし」 と、私がやっているアプリゲーム、『ねこかきあつめ』というその名の通り、猫をかき集めて楽しむというゆるいゲームの楽しみ方がわからないらしく批判される。

「だって猫飼いたいけど飼ったら一人でも良くなりそうだから、我慢してるんだよ」
「なら、やっぱり乙女ゲームで癒しを」
「いい、いい。私この前だって少女漫画を大人買いしちゃったくらいだから、今の私なら課金しまくりそうで怖いし」
「いやいやホストクラブに行くより安いじゃないですか。やっぱり二次元の世界がいちばん安心しますよね。ね、若槻さん?」

若槻は「どっちも興味ないです」とにっこり微笑むと、「そういえば今日、勉強会どうだったんですか?」話題を変えた。

「あ、そうだ。お疲れ様です」
「どうもこうも、けっこー噛んだけど、どうにかこうにか終わったよ。課長には、まあ色々ご指導いただきましたけど」
「課長が同行するのって珍しいですよね」
加賀くんが言う。