ちょっと考えたような顔をしてから
「したっつうか、されたな」
「はっ?」
「あしらったら、お前がしてきたんだろ」
「……え、嘘だ」
嘘じゃねーよと言ってから、含み笑いをする。
「でもなんか知らないけど、キスした後すごい幸せそうな顔で俺に抱き着いてきたと思ったら、そのまま爆睡して、こいつ子供かって思ったら、少し笑えたな」

クスクス笑うけど、いたたまれない。
でも課長の中で、楽しい思い出に変わっているなら幸せなことのようにも思えてもきた。
私の課長との初めてのキスは、光の中に置いてきたことにしよう。
こうして黒歴史が優しいものに変わっていくのだから。