「わかってますけど、出来ないんす」
「乙女ゲームなんかにはまってるからだよ」
と、私が言うと
「またいいやつ見つけちゃったんですよ」
と満面の笑みでスマホをタップししばらく画面を見てニヤニヤする。
「聞いてください、この声」と私の耳にスマホを押し付けてくる。
「はいはい」と突き返すと「お前は俺のものだろ」と赤面してしまいそうな台詞が聞こえた。うん。悪くない。声は悪くない。だけど現実世界でこんなこと言われたことのない私はどうも受けいれられない。
「俺のものだろ……か。男の嫉妬って、いいですよね」
うっとりした顔で言う中村。
「えっ? そう? 私は嫌だな。なんか信用されてないみたいに感じるから」
「えー? そうっすか? 普段、俺様な彼が嫉妬なんて胸キュンじゃないですか!」
「いや、私はそういうこと言わずにドンと構えててほしいよ」
「まあとりあえずっすよ。私のID教えるので小千谷さんもしましょうよ。今なら限定アバターがもらえるし、ストーリーチケットもですね……」
と説明し始める。



