甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


お腹が空いたというので、テイクアウトできるものを幾つか買い込んで向かった。
会社に着いて、ビルを見上げると灯りがまだ点いていた。
セキュリティのロックを解除すると、課長が一人デスクに向かっていた。

「課長、お疲れ様です」と声をかけると驚いたように顔を上げた。
「はっ?」
「腹が減ったというので、テイクアウトしてきました」と購入物を掲げる。
デスクにのせると
「……酒臭い」と煙たがれた。

「あ、すみません。ちょっと飲んできたので」
「そういえば今日、飯に誘われたとか言ってたな。関口の店の奴とだろ」
「……あ、昨日の立ち聞きしましたね」
「独り言いってるから、嫌でも聞こえんだよ。つうか腹減ったって言ったら来てくれるなんてデリバリーか、お前は。しかもなんだこの量は」
「すみません。買い物悩んじゃって。中村に聞いて。課長、自分の仕事終わってないみたいだっていうから、心配で」