甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


今日は、異動する同僚の送別会があった。

勉強会を終え、課長とお店へ向かうとすでに始まっていた。
若槻と中村が私を手招くので、その隣に座った。

「何飲みます?」
「あ、ビールにする」
「お! 今日は飲むんですね」と中村が目を丸くする。会社の飲み会でのお酒は控えていたけど、今日は飲みたい気分だった。

「たまにはね」
「じゃあ、今日はがっつり飲みましょう」

小一時間ほど経つと、ただの飲み会の場と化す。

「結婚かぁ。いいな」

話題が若槻の結婚の話になると、中村が隣でちびちびとカルーアミルクを口にしながら呟く。

「中村、結婚したいの?」
「そりゃもう」
と言うけど、中村は確か24歳。
まだこれからじゃん、楽しいことってと、私から見ると思うわけであって。

その隣にすまして座っていた若槻にも「いいですよねー。若槻さん本当に」と羨ましそうな声をかけた。

「中村さんは、まず結婚よりも先に彼氏だよね」というのは、加賀(カガ)くん。
同じ営業で中村のひとつ上だけど、2人は同期みたいに仲がいい。