「過去のお母さんと? どういうこと?」




私は冷静を装って、コップに牛乳を注いだ。




「あんた、文芸部辞めたんだってね?」




お母さんも冷静で、棒針を動かしながら言った。




「辞めたって言うか、左遷だけどね」




「それでもお母さんは知りたかったわ。あんたが短歌部に入ったってこと。長我部くんからじゃなくて、あんたの口からね」




「ごめんなさい」




私は牛乳を一口飲んだ。




「でも、お母さんが短歌部にいたって話、知らなかったし、それどころか瀬花高校のOGってことも知らなかったよ」




「そうよ? 聞かれてないもの」




お母さんは鼻で笑った。