すっかり遅くなった夜道を私は一人歩いた。




おじさんは優しい人で、あの強面の人たちに家まで送らせようとしてくれたけど、断った。これ以上優しい言葉をかけられると、壊れてしまいそうだった。




月はこんなにも綺麗で輝かしいのに、空はいつまでも真っ暗で、人間が作り出した街灯を頼りに私は歩いている。




時々、車が猛スピードで私を追い抜いて、取り残される。私は一歩、一歩確実に前へ歩いているのに。遠い。