いつものように部室へ行くと、部員たちが何やら騒いでいた。
「どうしたんですか?」
「これ見てちょうだい!」
美佐枝先輩がそう言って私に張り紙を見せてくれた。それは、文芸部発足の張り紙だった。
「文芸部……ですか?」
「そう。文芸部よ! 文芸部がこの学校にできるってことよ! ねえ、この意味わかる?」
私にはさっぱりわからなかった。
「つまり、短歌部は文芸部と統一されてしまう可能性があるってことよ!」
文芸部に統一?
「そんな馬鹿なことがあるわけないじゃないですかー。まるで、男子バレーボール部と女子バレーボール部を一緒にするみたいな」
「でも、よくよく考えてみて? 文学ってジャンルでは、短歌も小説も同じようなものよ。短歌部は規定人数ギリギリの5人しかいない。文芸部に限ってはまだ0人よ?」
「0人? それおかしくないですか? 部として発足するなら、最低でも1人はいますよね? ほら、文芸部を作りたいって人が。じゃないと、文芸部を発足なんて、できないですよ」
「そうよ。だから、まずいのよ」
私は本当に意味が分からなかった。