私はお母さんに「帰るのが遅くなる」とメールをし、『レインリリー』を出てからそのまま、カナ先輩の家にお邪魔することになった。




『レインリリー』から徒歩10分ほどの距離にあったカナ先輩の家を一言で言うなら……。




「怖い」




怖いのだ。だって、これ大きな平屋の日本家屋で、大きな木造の門を段差で躓かないように跨いで、左手に見えますのは、お庭とお池でございます。ほら、ここで錦鯉を飼っております。おやおや、ししおどしもありますよ?




「カナ先輩の家って、極道ですか?」




「やーね。そんなわけないでしょ?」




カナ先輩は私の背中をバシッと叩いてそう言うけど……。




「「おかえりなさいませ! お嬢!」」




なんて玄関先で怖いお兄さん達からお迎えされるかね、普通。