カナ先輩の話を聞き終え、私の疑問のほとんどが解消された。




まず、文芸部は昔、確かに存在していたということ。




そして、短歌部は、サラダ先輩が入ってから復活したこと。つまり、このことからサラダ先輩は、本当に短歌に興味がなかったということになる。




まさか、あの短歌部をカナ先輩が復活させていて、しかも、サラダ先輩が短歌部に入った理由っていうのが、カナ先輩による鉄拳制裁だったなんて、想像もしなかった。




いやいや、そもそも、あのサラダ先輩に荒れていた時期があったこと、そして、ワイシャツの下に来ている赤のTシャツ。あれが当時荒れていた頃に返り血によって赤く染まっていたなんて、知らなかった。




サラダ先輩、あのTシャツ毎日来てるけど、ちゃんと洗ってるんだろうか。




まあ、これで、サラダ先輩が短歌部に入った理由も、短歌を詠まない理由もわかった。サラダ先輩は、本当に短歌が好きじゃなくて、あくまで強制的に短歌部に入部させられただけだった。




ん? 待てよ?




「つまり、それってサラダ先輩、どうしようもなくクソ野郎ってことですよね?」




加持先輩は、コーヒーを噴き出し、カナ先輩は腹を抱えて笑っている。




「そうね。少なくとも、文芸部を辞めてからはどうしようもないクソ野郎ね」




ほんと、笑いごとじゃない。私は、今まであのクソ野郎と一緒に過ごしていたのかと思うと、腹が立ってしょうがない。




あんな繊細な短歌を詠むサラダ先輩に憧れて、サラダ先輩に付いていくことを決めたのに、それが短歌を詠まないクソ野郎だったなんてオチ、私も読者も納得しない。




ん?




待て待て待て!