「また、学生探偵を指名してて、警察や教師には話すなってところも引っかかるわね。これは、『警察や教師にばれないようにしたい』って表面上は、そう捉えられるけど、ここで言う、『学生探偵』への挑戦状ともとれるわね」




「長我部の言う通りだよ。そもそも『学生探偵』が俺だって決まったわけじゃないだろう? 長我部は、煙草の時も、プリンの時もいたから真っ先に俺だと判断したようだけど」




そういえばそうだ。『学生探偵』なんて、まるでサラダ先輩の推理した煙草の件もプリンの件も知っていて、それに対する挑戦状……とは言い切れない。




ここでの『学生探偵』は、『拾った人自身が探偵となって、このトリックを解いてみよう!』ともとれる。




それに……。




「この予告状、もし、カナ先輩じゃなくて、先生が拾ってたら、『学生探偵』に絞れないですよね?」




サラダ先輩が「そういうこと!」とピースサインを送ってくる。




つまり、これを整理すると、犯人は……。




「これをゲーム感覚と捉えている危ない人……」




私がそうつぶやいた瞬間、カナ先輩が立ち上がった。そして、机の上にあったはさみを掴んだ。




「私、爆弾探してくる! これが正しいかどうかわからないけど、『場所は、社会科資料室と数学準備室』って書いてるわ。とりあえず、それらしきものがないか行ってみるわね!」




なるほど!




そうだ。そこに爆発物があるかどうかは、調べられるはずだ。そして、最悪、時間が迫っていたら、命を懸けて、赤いコードを切ればいい。




「カナ先輩、私も行きます!」




「でも、危ないわよ?」




「大丈夫ですよ! それに、社会科資料室は、ここ東棟ですけど、数学準備室は、西棟ですから。手分けしたほうが、効率がいいですよ!」




しかしカナ先輩は、「大事な後輩を危険な目に遭わせられないわ」と言って、走って部室を出て行ってしまった。