雨の日から始まる小説って、なかなか珍しいんじゃないかな?




そう思って、私が初めて書いてみた小説。『レイニーブルー』。




主人公の女の子(これ私)が急な夕立に遭い、軒下で雨宿りをしていると、途中から入ってきた新聞配達のアルバイトをしていた男の子と出会って、それから女の子(何度も言うけど私)がその男の子に一目惚れ。名前も聞けずに、雨が上がるまでの初恋を描く、甘く切ない話。




そんな最高傑作、『レイニーブルー』を戸松先輩は、首を傾げたり、目を細めたりしながら読んだ。




「あの……どうですか?」




「うーん……サルワタリさん、これ……。」




「あの……サワタリです。」




「あ、そうだっけ? まあどっちでもいいんだけどさ。」




「よくないですよ! 私には、『猿渡 万智』ってちゃんとした名前があるんですから!」




「あ、うん……で、猿渡さん。」




「だーかーらー! 猿渡……って、合ってましたね……。」




「……続けていいかな?」




「どうぞ。」