私は、止まっている葉月の目線の先を追った。


その先には、背の高い男子が一人。


角を曲がってきたんだろう、
綺麗な横顔が目に入った。


「あれが、葉月の好きな子?」


そう聞いても葉月は反応しない。


…何なの?
あの男子に釘付けされすぎ。


よーし。


私はイチゴオーレのパックを男子に投げつけて、電柱の影に身を潜めた。


葉月は、釘付けになっていて私の行為にすら気づいていない。


電柱の後ろ。
そこは、ちょうど二人の姿は私に見えるが二人からは私が見えない場所。


…いわゆる、死角だ。


イチゴオーレのパックをぶつけられ、男子はゆっくりと振り返る。


その瞬間、葉月はハッと我に返る。


ははっ、慌ててる。


何も言ってこない男子に対し、どう対応すればいいのか迷ってるんだろうな。