Heaven~第三章~

「嵐!」


決して私と嵐の距離が遠いわけじゃないのに、私の声は嵐には届かない。



「嵐!嵐!!!」


何度も名前を呼び「何やってんの?」と嵐の腕を掴むと、ようやく嵐の視線が私に向いた。


「椿、久しぶりだな」

「久しぶりじゃないよ!何やってんのこんな場所で?」


嵐は自分の腕から私を離し「ケンカをちょっとね」と言いながら足元に落ちていたメガネを拾いかけ直した。


「椿はバイトの帰り?」

「そうだけど」

「じゃあ、送るよ」


本当はもう嵐だって私と獅朗のことを知っているはずなのに、
送ってもらう義理なんてないのに、


「うん」と返事をしたのは、早くこの場所から嵐を遠ざけたかったから。