ってことは、匡史は知ってたんだ。

そう考えたら、やっぱり私、酷いことしてたよね..........


「だから、あいつがその後もお前のそばに張り付いてるの見て、何か卑屈になっちゃったんだよね。どうせ俺は大阪行く身だし、このままにしといた方が、お前も幸せなのかな、とか。ホント、今、考えるとガキっぽい発想で恥ずかしいんだけど、当時はガチで凹んでたから。」

「.........ごめん。」

「なんで謝んの? 疑って、僻んで、嫌な思い、いっぱいさせちゃったのは俺の方じゃん。」

「でも..........。」

「お前は悪くないよ。本当にごめん。」

「やめてよ、もう。」

「じゃあ、 許してくれる?」

「当たり前でしょ」

「ありがとう。良かったぁ。これで、何かつかえてたものがス〜っとした。」


..........思い出した。

私はこのハスキーな太い声と、いたずらっ子が照れてるみたいな笑顔が大好きだったんだ。

懐かしいな。

こうしてると何だかホっとする。


この笑顔に向き合っていると、忘れかけていた思い出が一気に蘇って来る。

匡史との三年分の思い出が、次から次へと溢れ、胸がいっぱいになる。


私、まだこんなにたくさん、自分の中に匡史に愛された記憶を大切に仕舞ってたんだな。

全然、忘れてなんかいないんだ..,.......