「うん。だから、三年になっても、ずっと仲良くしてたし。」

「へぇ、そうなんだ。」

「そ、そうなの.......。」


あぁ、助かった。

何とか通じたみたい。


って言うより、もう匡史もオトナだし、多少は空気が読めるようになったのかな。

誰が聞いてるかわからないし、仕事にそういう私情を挟むのをよく思わない人もいる。

売り場の真ん中で、自ら取り引き先に元カノがいますなんてバラさないか。


「良かったじゃん。同級生と仕事が出来るなんて羨ましいよ。」

「いや、ホント、ホント。やり易くて助かるわ。新店って、何やかんや大変みたいだし。」

「向井くん、この後、時間ある?」

「うん。夕方、本部のお偉いさんが来るまではフリータイム。」

「じゃあ、俺、ここのチーフと相談することあるから、良かったら二人で休憩しててよ。会うの久しぶりなんでしょ。」

「へっ!? 」

「あぁ、うん。そうする。じゃ、下のコーヒーショップにいるから、終わったら来てよ。」

「うん、わかった。」


ねぇ、ちょっと待ってよ。

私の都合は!?

ここでいきなり二人きりにされちゃうんですか!?


そりゃあ、須賀くんは何にも知らないから仕方ないけどさ。

匡史と最後に会ったのは、遥か昔の高校の卒業式の日で、その日だって、決して後味の良くない悲しい思い出しかなくて..........