君を選んだから

須賀くんの運転で巡回車に乗ることもたまにはあるけど、そんな時は必ず、他の誰かも一緒だ。

あくまでもお仕事なのはわかってるけど、二人きりのお出掛けに心が弾む。


乗っている間に、この前から気になっていることが聞けたらいいな。

ラッキーデーだから、ちょっとくらいは欲張ってもいいかな。

須賀くんの横顔を見ていると、そんな発想も芽生え始める。

だけど、出発して間もなく、須賀くんの口から予想外の言葉が出て来た。


「そう言えばさ、向井くんも彼女いないんだって。結構長いこと。」

「そ、そうなんだ。」

「割とイケメンだし、俺が女だったら、付き合ってもいいと思うんだけどな。」

「へぇ、そんなにいい人なの?」

「面白いし、いい意味で少年っぽいところあるし、絶対、一緒にいたら楽しい。」

「ふ〜ん。友達ならそれでいいけど、彼氏となるとまた違くない?」

「え? どんな?」

「やっぱり、優しくて、一緒にいてホっとする人がいい。好きなものとか話が合えば、なお良いし。それから、約束は守る人。そういう人に守られたい。」

「へぇ〜、可愛いいこと言うね。」

「そう?」

「守られなくても、お前なら大丈夫だよ。」

「何、それ? 失礼な。」

「はははは.......。約束守るとか、やっぱ、重要?」

「うん。愛してるんなら、約束くらい守れるでしょ?」

「なるほど。」