君を選んだから

そのチャンスは、早くも次の週にやって来た。

新商品のカタログを片手に企画書に目を通していると、須賀くんがスマホの画面を見ながら話しかけて来た。


「お前さ、今日の午後、空いてる?」

「あぁ、うん。行こうと思ってた所あるけど、約束はしてないから今日じゃなくても平気。」

「ならさ、向井くん、今日、店頭で新人パートさんの研修やってるみたいだから、店巡行く時、一緒に行く?」

「うん。行きたい。」

「じゃあ、お昼食べた後ね。」

「わかった。ありがとう。」


やった。嬉しい。

店巡ついでと言うことは、お店に着くまでは二人きり。

巡回用の軽自動車なのが残念だけど、私にすれば、これも好きな人との立派なドライブだもん。


しかも、ついに噂の向井くんと初対面。

ウキウキすることが連続してあるなんて、今日はラッキーだ。

さぁ、午後に備えて、面倒な事務仕事はパっと片付けておかなくちゃ。


ツイている日には幸運が続くようで、行きつけの洋食店で、限定10食のハンバーグランチにありつけた。

さらにはそこで所長に出くわし、一緒にいた同期のメンバー全員分、何故だか驕ってもらえた。


こんなに嬉しいことが続くと、後がちょっと怖いかな?

いや、いや、そんなことは気にしない。

今日は有難く、幸運を楽しむべきよね。