君を選んだから

そうだよ。 私、今日一日、須賀くんの彼女なんだった。

家族の皆さんには、そういうこともあり得る関係に見えるっていうことなのか。


何だか嬉しいような、恥ずかしいような、本当は何もないのに変な感じ。

って言うか、もういっそのこと、このまま押し倒してくれればいいのに。


なんて、バカなこと言ってる場合じゃない。

須賀くんの中にある闇をどう暴くか考えなくちゃ。

普段の明るくて、フワフワしてて、カワイイ須賀くんからは、想像も付かないようなディープなこと言うんだもん。

頭の中は大混乱だよ.......


だけど、諦めない。

須賀くんに決まった恋人がいないことは、ハッキリしてるんだから。

ただでさえ自信がないのに、よくわかんない相手がライバルなのには、困惑しかないけど。


「じゃあ、行くか。お前が持って来たゼリー食いたいし。」

「うん。」

「じゃ、はい。」

「.......え?」


立ち上がり、私の膝の上にいたきなこを片手で抱き抱えると、須賀くんがもう片方の手を差し出した。

この手は何?

どうすればいいの?

恐る恐る手を出してみると、ギュっと握って私を引っ張り上げ、ソファに沈んだ身体を起こして立たせてくれた。


「.......ありがとう。」

「うん。」