君を選んだから

好きな人はいるけど、いないのと同じってどういう意味?

最初から戦わないって、つまり無理過ぎる相手っていうことでしょ?

かと言って、自分がモテない訳じゃないってわかってるはずなのに、努力したところで手に入らないとか、思いが届くことも叶うこともないとか、どうしてそこまで卑屈にならなきゃいけないんだろう..........


っていうことは、イケナイ恋をしているとか。

いや、須賀くんに限って、まさかねぇ。


でも、そのくらいしか思い浮かばないんですけど。

う〜ん、我ながら恋愛偏差値低いなぁ.......


「何、観る? 」

「どんなのがあるの?」

「え〜っとぉ......。あっ、ちょっと待って。」


須賀くんがDVDの収められたケースを開いて見せようとした瞬間、携帯が鳴った。

ポケットから携帯を取り出し、画面を見ると、「何だよ」と言わんばかりの面倒くさそうな表情を浮かべている。


「はい。何? わざわざ。 .......わかった。今、行く。」


え? それだけ?

ずいぶん突っかかったような言い方だったけど、相手、誰?


「いつもだったらノックしてすぐ入って来ちゃうくせに、彼女連れて来ると、やっば気ぃ使うんだな。」

「え? 」

「お取り込み中だったら悪いとでも思ったんじゃん? デザート出すから、下に来いって。」

「あぁ。」