君を選んだから

「俺のことはいいから、お前は頑張れよ。」

「..........。」

「好きな奴がいるなら、努力してみる価値はあるだろ。応援するから。」

「.......バカ。」

「え、バカ? なんで?」

「いいの。」

「何だよ。」

「だって.......。」


拗ねてる私の頬を、須賀くんの人差し指が突つく。

そのまま軽くグリグリしながら、心配そうな顔で、また覗き込むから、負けてしまい、ついつい笑ってしまう。


「お前、泣いてるの似合わないから、もうおしまい。」

「うん.......。」

「この話はもういいから、何かDVDでも観ようか?」

「そうだね。」


須賀くんはやっぱり優しい。

こうして、どんな時も思いやりに満ちていて、彼独特のほんわかした温かいオーラで、周りの人を笑顔にしてしまう。


須賀くんのそういうところがすごく好き。

彼が作り出す柔らかな空気に包まれていると、ホっとする。


多分、どの女の子よりもそばにいて、須賀くんの一番近くまで行けるのは私。

だけど、私が入って行けるのはいつもここまでだ。


でも、今日は近付くことが出来なかった理由が、少しだけ見えて来た。

見えては来たけど、須賀くんが抱えている問題が難し過ぎて、ますますどうすればいいのかわからなくなっちゃった。