君を選んだから

「この子、名前は?」

「きなこ。」

「きなこ?」

「そう。きな粉みたいな色だし、こいつのお母さんが『あんこ』だから。」

「へぇ、カワイイ名前。女の子?」

「うん。俺とずっと一緒にいてくれる唯一の女の子。」


ニコニコしながらCDを漁ってる須賀くんの背中に向かって、心の中でツッコミを入れる。

ねぇ、ちょっと、私は?

私は女の子じゃないんですか〜!?

でも、まぁ、犬以外にライバルがいないとわかれば安心だし、この子になら負けてもいいか。


ところで、静かに流れ始めたこのバラードはブルーノ・マーズ?

素敵な選曲だけど、落ち込むわ。

何にも考えないで妙にムードがある曲かけちゃうあたり、私って本当に友達ポジション止まりなんだな.......


「ところでさ、お前って、今、好きな人とかいる?」

「へっ!?」


突然、何言い出すのよ。

心臓止まるかと思った.......


って言うか、友達扱いしかしてくれないくせに、急にそんなこと聞くとかズルくない?

だいたい、聞いてどうする訳?


「その反応は『好きな人いる』感じ?」

「えっ、あっ、いや.......。」

「お前って、正直。そういうところ、嫌いじゃないけど。」

「ほ、放っといてよ!!」


もう、何なの〜!! イジワル!!

一気に身体が火照って来る。

今にも顔から火が出そう。