君を選んだから

須賀くんを探してキョロキョロしていたら、芝生の隅で犬と戯れている後ろ姿を発見した。

あぁ、いた。良かった。

いなくなるなら、言ってよ.......


「ここにいたんだ。」

「あぁ、うん。もう平気だろ?」

「平気だけど.......。」

「大丈夫だよ。お前、いい感じにうちの家族に馴染んでるし。」

「そう?」

「うん。」


.......ってさ。 適当なんだから、もう。

でも、何かちょっと様子が変じゃない?


犬の方はあんなに楽しそうにじゃれついてるのに、なんで真顔?

普段の須賀くんなら、ここで甘々のスマイル見せるはずでしょ。


機嫌が悪い訳じゃなさそうだけど、明らかにテンション低いよね。

何か嫌なことでもあった?


黙って考え込んでたら、不意に須賀くんが目を合わせ、ニコっと微笑んだ。

まるで私が怪しんでるのを察して、「何でもないよ」って言ってるみたいに。


「もう結構食った?」

「え? あぁ、うん。」

「じゃあ、今、兄貴が焼いてる肉、美味そうだから、あれ食ったら、俺の部屋行こうか。」

「須賀くんの、部屋?」

「そう。」


うそ、 部屋まで入れてくれるの!?

嬉しい。嬉しい。

嬉しいけど、どうしよう。

だからって何も無いのはわかってるけど、心臓がバクバクしてる。