君を選んだから

送別会の翌日だと言うのに、今日は朝から研修だ。

あんまり飲まなかったから大丈夫だけど、本当は家でゆっくりしていたい。


化粧品の販促チームだけに、適当過ぎるメイクは良くないだろう。

今までより準備に時間がかかるから、ちょっと面倒くさい。


本社は駅から結構あるから、家を出る時間にも気を使う。

風も強いし、念のため、早めに出ておこう。


そう思ったら、チャイムが鳴った。

うそ。こんな時間に?

もう家を出る時間なのに..........


すると、扉の隙間から花の香りが漂って来た。

不思議に思いながら開くと、大きな花束が見えた。

驚く私の足元に、何やら温かいものが絡み付く。

え? きなこ!?

どうして、こんな所に!?


「お誕生日、おめでとう。」

「え? うそ? 須賀くん?」

「本社行くんでしょ。誕生日なのに、お仕事なんてエラいから、車で送ってあげるよ。」

「へっ?」

「帰りも迎えに行くから、例のレストラン行こう。約束したでしょ。」

「あ..........。」


信じられないサプライズに、目が潤む。

せっかくのメイクが流れちゃうじゃん。


昨日までロクに口も聞かなかったくせに、こんなのってズルくない?

こんなことされたら、もっともっと好きになる。