1月の最後の日曜日、兄貴と陽奈さんの沖縄行きを祝うパーティを母親がどうしてもしたいと言うから、あいつにまた「ニセ彼女」を頼んだ。

嬉しそうに引き受けてくれるあいつをカワイイと思うのは、どんな感情だ?


我が家の家族と普通に馴染んでくれるのも、毎回、とても嬉しく思う。

もはや、他の女の子とはまったく別の存在なのは、認めるしかない。


母親が作ったパーティ料理と一緒に、兄貴が燻して作ったとかいうベーコンやらスモークチーズやらが並んでいる。

相変わらず、すげーな。

凝り性の性格をフルに生かして、好きなことをたくさん極めている。

いくつになっても、兄貴には何も勝てる気がしない。


「すごいでしょう。これ、大地さんが作ったんだよ。」

「大したことないよ。」

「いや、すごいです。売ってるのより美味しいかも。」

「じゃあさ、簡単だから、ここの庭で郁海に作ってもらえば? 」

「俺はいいよ。」

「なんで?小さい頃は、俺がやってること、なんでもやりたがったのに。」

「もう大人なんだから、子供の頃と一緒にすんなよ。」

「素直じゃないな。小さい頃は、あんなに可愛いかったのに。」

「え〜、それ聞きたい。郁海くんて、どんな子だったの?」


おい、おい、盛り上がってるのはいいけど、話が変な方向に行ってないか?

陽奈さんも、何故、そこでつっ込む?

頼むから、兄貴、変なこと言うなよ........