君を選んだから

我が家もそうだけど、1LDKは部屋の大半をやっぱりベッドが占めちゃうから、嫌でもそれがソファ代わりになってしまう。

だけど、ベッドに腰掛けたスウェット姿の匡史は、ずっとニコニコしていて何だかカワイイ。

売り場に立っている時とはだいぶイメージが違う笑顔に、お正月に実家で見た古い写真が重なる。


そんな匡史を見ていたら、急に高校生時代に通った実家の部屋が浮かんで来た。

匡史の部屋であったいろんなことを思い出し、ちょっぴり気恥ずかしくなる。


「何かさ。こういうの照れちゃうね。このポジションでいること自体が懐かし過ぎて。」

「うん。私も同じこと、考えてた。」

「でも、今、こうして、お前が隣に座ってることが嬉しい。嘘みたい。」

「嘘じゃないよ。触れても消えないし。あ、ねぇ、寝てなくて大丈夫なの?」

「うん。もう寝過ぎて身体痛いし、せっかくあおいがいるのに寝たくない。」

「大丈夫ならいいけど、無理しちゃダメだよ。」

「うん。ありがとう。」


さっきから、話しながら、匡史が何かをチラチラ見ている気がする。

あっちの方に、何か気になるものでもあるのかな?


そう思ったら、匡史が立ち上がって、何かを手にした。

あれ? でも、それって、恐らくあそこのショッピングバッグだよね?