君を選んだから

そりゃあ、その方が楽だけど、貴方はこのフロアで一番エラい人でしょ?

それじゃあ、部下たちにも示しが付かないってば。


「ねぇ、このアイランド什器って、しばらく入浴剤とカイロ?」

「追加発注しないなら、本部企画で落ちて来る柔軟剤、早めに入れられるよ。」

「そうじゃなければ?」

「この店、広いし、売れるから、勝負するなら新発売のシャンプーだけ単品でドーンと積むとかも面白そうだけど。」

「俺、そっちの方が好き。」

「あはは.......。わかる。匡史っぽい。」

「あっ、お前だって言ってんじゃん。」

「あ.......。」

「とりあえず、バイヤーに許可取っとくわ。あと、年明けたら七星堂フェア組んでやるから、また手伝い来て。」

「うん。ありがとう。」


確かに無理だな、完全に他人のフリは。

気を使い過ぎて、仕事にならなくなっちゃいそう。


「お前、正月は実家帰んの?」

「うん。多分、三が日くらいだけど。」

「お前んちのご両親に、よろしく言っといてよ。あの頃はお世話になったから。帰って来て、一緒に働いてますって。」

「あぁ、うん。そうだね。匡史はやっぱり無理?」

「元旦、初売りだからね。てか、その前に、今って休みの日もほぼ毎日、ここ来てる感じだからさ、いつになったらまともに休めるかわからない。」

「そうなの?」

「新店チーフなんて、みんなそんなもんだよ。」

「ふ〜ん。そんなに大変なんだ。身体壊さないようにね。」

「うん、ありがとう。」