「そう言えばさ、向井くんとどうして別れちゃったの?」

「へっ?」

「あぁ、もちろん、言いたくなかったら言わなくいいけど。」


ついに話の方向がおかしくなって来ちゃったじゃん。

須賀くんにこんなことを聞かれる日が来るとは、思ってもみなかった。

だけど、言わなかったら言わなかったで誤解されるよね?

匡史との思い出を、ものすごく大切にしてるみたいに思われたくない。


「........約束守らなかったから、かな。」

「約束?」

「まだ幼かったから、意地の張り合いと誤解の連続で会えなくなっちゃったっていう感じ。」

「ふ〜ん。」

「私の誕生日に匡史が約束守ってれば、多分、それまでのすれ違いは何とかなったのに、破ったから終わっちゃったの。」

「そうなんだ。」

「.........うん。」

「じゃあさ、もしかしたらだけど、向井くんの中では、まだ完全に終わってないのかな。」

「.......え? 」

「お前のこと、本気で好きなんだなって、すごく伝わるから。」

「..........。」

「今の向井くんなら、きっと約束破ったりしないよ。お前のこと、大事にしてくれるんじゃないかな。」

「でも..........。」


もう我慢ができなかった。

勝手に涙が溢れて出た。

大粒の涙がこぼれて、後は何も見えなくなった。