でも、胸に顔を埋め、すすり泣く弱々しい肩を見てたら、俺自身もたまらない気持ちになった。

情けない俺をこんなに心配してくれる優しいこいつを、とても大切に感じた。

そう感じたら、俺も思わず、両腕で包み込むように強く抱きしめていた。


それは温かくて、柔らかで、心を落ち着けてくれて、抱きしめているだけですごくホっとした。

泣き顔がとても愛しく思えて、胸の奥がギュっと痛くなった。

それから、いつも一緒で、そばにいてくれるこいつが、普段よりも弱くて脆いものに感じた。


「本当にゴメン。大丈夫? 」

「..........。」

「もう涙、止まった?」

「..........。」

「俺のどうしようもない話なんかで、そんなに泣かなくていいのに。」

「私は好きな人のために泣いてるの。」

「.......え?」

「須賀くんが一緒にいてくれないと、私は幸せになれない。」

「..........。」


待てよ、今の言葉って............

もしかして、そういう意味なのかな?


多分、そうだよな?

気付くのが遅過ぎた。

今まで俺は何をしてたんだ。

これだけずっとそばにいたのに、俺はこいつのどこを見てたのかな。


こいつの好きな人って............俺、なの?