君を選んだから

そして、その答えがわからないまま、今に至る。

俺ってこんなにしつこい性格だったんだと思うと、それだけでも何か凹む。


家族はもちろん、俺が陽奈さんを好きだなんて、これっぽっちも想像してないはずだ。

嫁と弟が仲良くしてるところを見せつけられる兄貴に関しては、非常に微妙なところだけど。


一方、陽奈さんはやっぱり、俺の気持ちに気付いてるようだった。

彼女はあれ以降もまったく態度を変えずにいてくれたから、俺も極力そうするようにしていたけど、さすがに耐え切れなくなって、自暴自棄的に何人かの女の子と遊んでいた時期があった。


その中から好きになれる子が見つかれば、気持ちを切り替えることもできたのかもしれない。

でも、元々そういうキャラじゃないし、何せまったくノリ気じゃないんだから、そう上手く行くはずがない。


疲れるだけだし、面倒くさくなってすぐやめたけど、荒れてる俺を見て、優しい彼女は変な風に責任を感じてしまったらしい。

その頃から、冗談半分を装い、たまに何となく俺の恋愛事情に探りを入れて来るようになった。

そして、さらには、母親まで巻き込み、「彼女ができたら連れて来てね」というフレーズを繰り返すようになった。


悪気はないんだろうけど、好きな人に言われるんだから、これには傷付いた。

それに、ここまでされると、ちょっと鬱陶しくもあった。


そんな中、思いついたのが「ニセ彼女」だった。

閃いた時には、これでこの状況が少しでも変わってくれたら助かる、くらいに、とても安易に考えていた。