君を選んだから

この前言ってた好きな人の特徴を含め、そういう理由で兄貴を選ぶ当たり、陽奈さんらしいなと妙に納得してしまう。

だって、悔しいけど、俺にはわかっちゃうから。

陽奈さんの言ってることが。


多分、陽奈さんは兄貴の醸し出す独特の「いい人オーラ」っぽいものに惹かれたんだと思う。

ナチュラル嗜好の陽奈さんには、色恋沙汰にはウトいけど、好きなものにはとことん真っ直ぐな兄貴が、飾り気のない素朴な王子様に映ったに違いない。


わかるよ、わかる。

何となくだけど。

でも、よりによって、どうしてそれがうちの兄貴なんだよ..........


似たような研究者タイプの男なんて、探せば他にいくらでもいるだろう。

兄貴を恨んでも仕方ないけど、情けなくて、切なくて、苦しくて、辛くて..........溢れる出る想いで今にも爆発しそうだ。


ずっとずっと好きで好きで、会う度、もっと好きになって、どう気持ちを伝えたらいいのか、毎日考えてた。

何なら伝えられなくても、彼女のことを思うだけで幸せだった。


なのに、グズグズしてる間に、俺には「好き」と伝える権利すらなくなった。

気持ちを表すことさえ、許されない立場になってしまった。


ありえねーよ。

こんなことが現実に起こるかよ。

この持って行き所のない想いを、俺はどうすればいいんだ..........