<ホントは彼女のフリなんてしたくない>
金曜日の午後は、決まって眠い。
溜まりに溜まった一週間分の疲れで、アタマも身体も思うように動かなくなる。
同期の男子達に付き合い、ボリューミーなランチを摂ったせいもあるのだろう。
迫り来る睡魔に襲われながらノロノロとキーボードを叩いていると、隣の席から同期の須賀くんが、いつもの調子で話しかけて来た。
「ね、お前さぁ、明後日、空いてる?」
「明後日? あぁ、うん。」
「マジ!? 良かったぁ。」
「なんで?」
「なんでも。じゃあ、今から絶対、予定入れんなよ。」
「えっ? ちょっと待ってよ。なんで?」
「後で言う。」
「は?」
「いいじゃん。ねぇ、ダメ?」
いや、その、全然ダメじゃないけどさ。
それ、反則だって。
そうやって可愛く甘えれば、私が「うん」って言うと思ってるんでしょ.......
「.......いいけど。」
「よ〜し!! やったぁ。やっぱり、お前は頼れる。」
って、簡単に負けてるし。
ホント、喜怒哀楽がわかりやすくて子供みたい。
だけど、私、この妙にキラキラした笑顔に弱いんだよな.......