泉さんからは1度連絡があった。
来週から、オールスターという特別競輪(G1)に出場するらしい。
舞台となる前橋の競輪場は綺麗なドーム型の室内競技場らしいので、観に来るように誘っていただいたけれど、断った。
離れていれば碧生くんと一緒にいれば、泉さんへ走ってしまわないでいられるみたい。
ずっと、碧生くんが京都にいてくれたら話は簡単なのに。
どこまでも身勝手な自分に、ため息が出た。
オールスター競輪の人気投票では、泉さんはベスト9には入らないものの、上から12番めという微妙なポジション入りをしていた。
クールな宇宙人っぷりと激しすぎる競走は好き嫌いが分かれるようだ。
多少気になったけど、調べたり、レースを見たりはしないようにした。
「今日は、高速乗るの?遠出?」
毎日 碧生(あおい)くんと過ごしてるうちに、よそよそしかった私の敬語が減り、以前の言葉遣いに戻ってきた。
「少しだけだよ。俺的には一番オススメの水運体験スポットかな。」
てことは、また舟に乗るのね。
こう頻繁だと、日焼けしちゃうかもしれない。
でも、楽しみ。
約1時間後に到着したのは、近江八幡。
まるで時代劇のような……というか、時代劇のロケでもよく使われるらしい、葭の群生する琵琶湖の水路を船頭さんの手漕ぎ船で進んだ。
のどかな風景に、水鳥が遊び、陽光と水面の光の反射が眩しくてあたたかくて気持ちよくて。
すっかり気の緩んだ私は、いつの間にか碧生くんの肩にもたれてうたた寝していたようだ。
目覚めてすぐ、慌てて碧生くんから離れたけれど碧生くんは目に見えてご機嫌さんになっていた。
「このままずっと百合子と2人で船に揺られてたいな。クルーザーでも買おうか。」
「乗る機会ないわよ。嵐山か嵯峨野のボートで充分。宝ヶ池でもいいわよ?」
そんな風に言ったけど、私自身、ゆらゆら揺れる船の心地よさがすっかり気に入っていた。
ランチは近江牛のしゃぶしゃぶ。
甘いお肉に頬が落ちそう。
「いつもの史跡巡りはいいの?」
安土城やヴォーリズの建築物、近江商人と、私でも知ってるぐらい名所が多そうな街なのに素通りしてきたようなので聞いてみた。
「んー。確かにそうなんだけど、ここはまだまだ史料が埋蔵されてそう。もうちょっと別の角度から裏付けがとれたらチャレンジしたいかな。」
「よくわからないけれど、まだカードが出揃ってないから、勝負に出られない?」
「トランプなら、そうだね。麻雀なら、相手の手が見えなくて下手に捨てられない感じ。」
麻雀?
「碧生くん、麻雀するの?」
何となくイメージにない気がした。
来週から、オールスターという特別競輪(G1)に出場するらしい。
舞台となる前橋の競輪場は綺麗なドーム型の室内競技場らしいので、観に来るように誘っていただいたけれど、断った。
離れていれば碧生くんと一緒にいれば、泉さんへ走ってしまわないでいられるみたい。
ずっと、碧生くんが京都にいてくれたら話は簡単なのに。
どこまでも身勝手な自分に、ため息が出た。
オールスター競輪の人気投票では、泉さんはベスト9には入らないものの、上から12番めという微妙なポジション入りをしていた。
クールな宇宙人っぷりと激しすぎる競走は好き嫌いが分かれるようだ。
多少気になったけど、調べたり、レースを見たりはしないようにした。
「今日は、高速乗るの?遠出?」
毎日 碧生(あおい)くんと過ごしてるうちに、よそよそしかった私の敬語が減り、以前の言葉遣いに戻ってきた。
「少しだけだよ。俺的には一番オススメの水運体験スポットかな。」
てことは、また舟に乗るのね。
こう頻繁だと、日焼けしちゃうかもしれない。
でも、楽しみ。
約1時間後に到着したのは、近江八幡。
まるで時代劇のような……というか、時代劇のロケでもよく使われるらしい、葭の群生する琵琶湖の水路を船頭さんの手漕ぎ船で進んだ。
のどかな風景に、水鳥が遊び、陽光と水面の光の反射が眩しくてあたたかくて気持ちよくて。
すっかり気の緩んだ私は、いつの間にか碧生くんの肩にもたれてうたた寝していたようだ。
目覚めてすぐ、慌てて碧生くんから離れたけれど碧生くんは目に見えてご機嫌さんになっていた。
「このままずっと百合子と2人で船に揺られてたいな。クルーザーでも買おうか。」
「乗る機会ないわよ。嵐山か嵯峨野のボートで充分。宝ヶ池でもいいわよ?」
そんな風に言ったけど、私自身、ゆらゆら揺れる船の心地よさがすっかり気に入っていた。
ランチは近江牛のしゃぶしゃぶ。
甘いお肉に頬が落ちそう。
「いつもの史跡巡りはいいの?」
安土城やヴォーリズの建築物、近江商人と、私でも知ってるぐらい名所が多そうな街なのに素通りしてきたようなので聞いてみた。
「んー。確かにそうなんだけど、ここはまだまだ史料が埋蔵されてそう。もうちょっと別の角度から裏付けがとれたらチャレンジしたいかな。」
「よくわからないけれど、まだカードが出揃ってないから、勝負に出られない?」
「トランプなら、そうだね。麻雀なら、相手の手が見えなくて下手に捨てられない感じ。」
麻雀?
「碧生くん、麻雀するの?」
何となくイメージにない気がした。



