ワインは両方とも抜栓して、同時に飲んだ。

完全に酔いが回ると、楽しくなってきた。
「楽しいわ。私、パジャマパーティーなんて、はじめてよ。」
笑いすぎて出てきた涙を拭きながらそう言うと、転がって笑っていた由未さんも、起き上がりこぼしのように勢いよく身体を起こした。
その様子がおかしくて、また笑ってしまう。

「私も!昔から、家でお兄ちゃんのお友達がめっちゃ楽しそうにワイワイ盛り上がってたから、私も!って思ってたのに!」
「……そうなの?」

私はその時その時、周囲の人達と適当に友達付き合いしてきたけど、泊まり合うほどの関係を構築してこなかった……お友達の家に泊まってくると母に嘘を言って義人さんとお泊まりすることは多々あったけれど。

由未さんは逆に、この間東大で遭遇した大村さんとずいぶんと親しくてお泊まりも多そうだったけれど。
「うん!知織ちゃんはくそ真面目な優等生で中学生の頃はビールも口を付けなかったし、高校の時のお友達は出産直後で母乳だからお酒飲まなかったし。大学受験が終わったら、知織ちゃんは妊娠してるし。」

「……何だか、みなさん、結婚早くない?類は友を呼ぶのかしら?」
今って30代でも結婚してない人多いのに。

「じゃ、百合子さんも結婚する~?碧生くん、マジでいいと思うで?優良物件。」
何の気なしにそう言ったらしく、由未さんはハッとしたように口を押さえた。
「ごめん。無理矢理くっつけるつもりはないし。……百合子さんが好きな人とうまくいくことを応援したいと思ってるし。」

……何とも言えない気分になった。
由未さんが、どこまで知ってるのかわからない。
もしかすると、全部聞いてるのかもしれないし、何も知らないのかもしれない。

少しためらったけれど、お酒の勢いも借りて、私はポツリポツリ話し始めた。
「優しいのね。ありがとう。……碧生くんが素敵な人だってことはわかってるのよ。楽しいし、救われたとも思うし、ずっとそばにいて欲しいと思うし……何て言うか、自分を偽ったり強がったりする必要もなくて、楽だし。」

由未さんは赤ワインを飲み干して、うんうんうんと大きくうなずいた。

私は由未さんのグラスにワインを注ぎながら続けた。