「配当は2車単1850円、3連単4560円。けっこうついたね。明日はこの半分ぐらいかもね。」
中沢さんは上機嫌だ……たぶんすごい額のお金をかけてたのだろう。
私は千円ずつ裏表で買ったので元手2千円で1万8千円の配当を受け取り、碧生くんは2車単と3連単の両方を千円ずつ買っていたらしい。
「新幹線代とランチ代を払ってもまだ残るよ。」
碧生くんはうれしそうに払い戻した。
「では中沢さん、ごきげんよう。」
私がそうご挨拶すると、中沢さんはキョトンとした。
「え?しょーりのレース見て行かないの?せっかく来たのに?」
「……これから熱田神宮にひつまぶしを食べに行きたいんです。」
碧生くんがそう説明すると、中沢さんは私と碧生くんに視線を往復させた。
「そう。それがいいね。ひつまぶし、美味いよ。あ、でも熱田はもうランチタイム終了じゃないかな。デパートの中の支店に行くといいよ。じゃあね。また2人でおいで。」
中沢さんはそう言って、ふらりと去って行った。
「不思議な人だね……飄々としたインテリ?」
「高校教師だったんだって。数学の。」
……あ、余計なこと言っちゃった……やっぱり馬鹿だわ、私。
碧生くんは受け流してくれた。
「さ、食べに行こ。ひつまぶし。」
デパートの中でも、有名店のひつまぶしはけっこう美味しかった。
「いつ行くの?アメリカ。」
ただ、とても量的に食べきれないので、私は最初からおだしをかけていただく。
空腹が満たされたところで、夏の予定を聞いてみた。
「3学期、けっこう休講多かったから補講もあってね。結局7月末まで日本。8月1日の飛行機に乗る予定。」
……東大では2年生(2回生じゃない!)の4月から7月までの夏学期(前期じゃない!)を3学期と言うらしい。
イロイロ独特な用語が生きてておもしろい。
「帰国はいつの予定?」
「……去年はお彼岸過ぎてから帰国したんだけど……百合子、淋しい?俺に、逢いたい?」
碧生くんは、ワクワクしてるように見えた。
淋しい、逢いたい、って言って欲しいのね。
笑いを噛み殺して言った。
「ご家族との時間を大切にしてほしい。でも、うちにも早く来てほしい。母も私も、碧生くんと過ごしたい。」
碧生くんは苦笑した。
「お母さんを出すのは反則。イケズだね、百合子。」
……でもね、本当に早く帰ってきてほしいと思ってる。
それは確かなの。
次、逢えるのが2ヶ月以上先なんて、信じられない。
このまま、駅で別れたくないな。
……ワガママかしら。
中沢さんは上機嫌だ……たぶんすごい額のお金をかけてたのだろう。
私は千円ずつ裏表で買ったので元手2千円で1万8千円の配当を受け取り、碧生くんは2車単と3連単の両方を千円ずつ買っていたらしい。
「新幹線代とランチ代を払ってもまだ残るよ。」
碧生くんはうれしそうに払い戻した。
「では中沢さん、ごきげんよう。」
私がそうご挨拶すると、中沢さんはキョトンとした。
「え?しょーりのレース見て行かないの?せっかく来たのに?」
「……これから熱田神宮にひつまぶしを食べに行きたいんです。」
碧生くんがそう説明すると、中沢さんは私と碧生くんに視線を往復させた。
「そう。それがいいね。ひつまぶし、美味いよ。あ、でも熱田はもうランチタイム終了じゃないかな。デパートの中の支店に行くといいよ。じゃあね。また2人でおいで。」
中沢さんはそう言って、ふらりと去って行った。
「不思議な人だね……飄々としたインテリ?」
「高校教師だったんだって。数学の。」
……あ、余計なこと言っちゃった……やっぱり馬鹿だわ、私。
碧生くんは受け流してくれた。
「さ、食べに行こ。ひつまぶし。」
デパートの中でも、有名店のひつまぶしはけっこう美味しかった。
「いつ行くの?アメリカ。」
ただ、とても量的に食べきれないので、私は最初からおだしをかけていただく。
空腹が満たされたところで、夏の予定を聞いてみた。
「3学期、けっこう休講多かったから補講もあってね。結局7月末まで日本。8月1日の飛行機に乗る予定。」
……東大では2年生(2回生じゃない!)の4月から7月までの夏学期(前期じゃない!)を3学期と言うらしい。
イロイロ独特な用語が生きてておもしろい。
「帰国はいつの予定?」
「……去年はお彼岸過ぎてから帰国したんだけど……百合子、淋しい?俺に、逢いたい?」
碧生くんは、ワクワクしてるように見えた。
淋しい、逢いたい、って言って欲しいのね。
笑いを噛み殺して言った。
「ご家族との時間を大切にしてほしい。でも、うちにも早く来てほしい。母も私も、碧生くんと過ごしたい。」
碧生くんは苦笑した。
「お母さんを出すのは反則。イケズだね、百合子。」
……でもね、本当に早く帰ってきてほしいと思ってる。
それは確かなの。
次、逢えるのが2ヶ月以上先なんて、信じられない。
このまま、駅で別れたくないな。
……ワガママかしら。



