「害はないですか?それよりお金とか…私…」
「気にしないで良い。さてと。私もそろそろお店を閉める支度をしなくては。」

そう言いながらよいしょと腰を上げたお婆さん。戸惑いながらもそのお店を出た美羽は家に向かって帰った。
家に帰る足取りは行きの時よりも数段明るく、そして軽く感じていた。部屋に着くと写真立てを見詰めた美羽。その心を感じたのかピエドラは話しかけてきた。

『お嬢、この人は?』
「……」
『お嬢!』
「え…?あ、お嬢って私のこと?」
『ほかに誰か居る?』
「そりゃいないけど…」
『…で?その人は?』
「私の大事な人。影山和希」

そうピエドラに名前を告げた美羽だった。