すぐに違う話題に移る友人たちを微笑ましく見ていると、開いている窓の向こうを春日が通った。

 友人と二人、何事か笑い合いながら。

 向こうはこちらに気づかない。

 背を向け、話し込んでいる春日のファン二人も気づかない。

 自分だけが春日を見ていた。

「舞、舞ったらー」

 急に呼びかけられ、二人に視線を落とす。

「舞はなんでいつもそう、切って捨てるように物を言うの?

 せっかくそんなに奇麗なんだから、愛想良くしたらいいじゃない。

 舞が好きだって男の子、いっぱい居るよ。

 でも、誰も怖くて近寄れないんじゃない」

 そう亮子が言い募る。

「近寄ってくれなくて結構―」

 どうしてそんなに情がないのかと言いながらも、沙知も亮子も、いつも自分のことを心配してくれる。

 思わず微笑むと、二人は小声で笑って言った。

「あー、もう。舞様っ。その時折見せる笑顔がたまんないっ」

 亮子が声を立てて笑った。