カーンカーンカーン

    静かな朝日に鳴り響く踏切の音。


       田舎娘の朝は早い。


     少しの間電車に揺られると

        彼が乗って来る。


       どうやら田舎息子の

        朝も早いようで

      大きなあくびに涙目だ。



   私はいつも一番端っこに座るのだが

         彼はいつも

      私のぴったり前に座る。


    たまたまそこに座っているのか

        それとも…


    なんてらしくない期待をするのは

     学校で見る彼の笑顔のせいだ。


         学校では

       笑顔を崩さない彼が

      この電車の中だけでは

      同い年とは思えないほど

       クールで素敵だ。


     なんだか緊張してしまう。


    でもこの時間は嫌いじゃない。



    イシシッと歯を見せて笑う彼

      物静かで大人っぽい彼。



      私は両方の彼が好きだ。